年末に時代が流れる街角で

 わたしが年老いてどうにもならなくなる直前の話しだ。実際のところ、今思えばまだまだ若かった。だが老化の兆候は既にあった。三十七だった。大阪の地下にあるクラブイベントに参加した。上半身裸になるイベントで、ヤリ部屋もあった。わたしはまだあの頃は筋肉質の体をしていていて、自信もあった。上半身裸になって店内に入った。年末のことだった。

 中は薄暗かったが赤味がかった照明が印象にあるが他所と勘違いしているのだろうか。

 店内を一巡りすると、際立って美丈夫な男がいた。歳の頃はわたしと同じくらいだろうから、決して若いわけではなかったが店内で一番いい獲物に見えた。とてもいい男だった。

 接近したのはわたしの方からだった。

 男はわたしを見る。

 わたしは男にまた近寄る。男は嫌がらない。再び接近し、密着状態になる。上半身裸の二人が筋肉を擦り合う。

 顔を近づける。男は逃げない。

 そっと口付ける。それから深くキスする。

 何度もする。夜は終わらない。

 わたしは強く、ヤリたい、と思う。

 首筋に腕を回し、他の客に見せつけるように唇をむさぼり合う。

 互いの坊主頭を手繰り寄せてむさぼり合う。

 今夜、この男とヤリたいと思う。

 この店の中で一番の上物を得たことに大きな優越感を覚える。

 店内は暑く、わたしはシャツだけ羽織って店の外に出て少し休んだ。

 街角で、フルートなど三重奏で中島みゆきの時代を演奏していた。しみじみと、年末なのだと思う。わたしは300円、チップを箱の中に入れて立ち去った。

 あれから店を抜け出してホテルへ行って肌を重ねたよね。他の客がくだらない民に思えて店を出て、ホテルに入った。あなたと一緒に風呂に入り、それからあなたがして欲しいというので掘った。あなたは本当に美丈夫な男だった。何度かやって、何度か会って、それで終わった。

(終)