That Boy

 ジムでよく会う男がいた。彼は何もかもを手にしていた。容貌や輝き、その他の美点。そのことについて外部から気がついていたのはわたしだけだったかもしれない。けれども彼は自分でよく知っていたはずだ。わかっていて自惚れていたはずだ。わたしはしばしば彼とセックスをする妄想に耽った。時には彼を無理矢理に犯してしまうことを考えた。わたしはしばしば背徳的な妄想にふける。そう、彼を恋人から奪い、いや、いっそのこと恋人とまとめて彼を手中におさめることを考えた。ふたりともまとめて。わたしはしばしば男を人間としてではなく見ることがある。彼は美しかった。いや、それほど美しくなんてない。わたしが嫉妬していただけだ、彼の持つ何かに。それは分析しきれない要素だったかもしれない。わたしが嫉妬したのは、彼の自惚れに、だったのかもしれない。わたしはああはなれなかった、これから努力してもなれないだろう。父はきっと、ああいう息子を望んでいたにちがいない、わたしなんかでなくて。わたしはいつも彼をじっと見つめていた。彼の唇がいちばん欲しかった。彼はこちらに一瞥を投げることもしなかった。一度たりとも、わたしに注目したことなどなかった。いつまで待っても、彼は一度もわたしを見なかった。あの男は引っ叩いて泣かしてやるべきだ、わたしの存在に気付かせるべきだ。そう思った。その嫉妬心が、わたしが小説を書く動機になったこともあった。

(終)