フィナはとても悲しい気持ちでした。お部屋の天じょうを見上げていると、天じょうから、こまかな白い鳥の羽がはらはらと雪のようにふってきました。
フィナは不思議な気分になりました。フィナのお部屋には絵もたくさんあるし、ソファにはお母さまがししゅうしてくださったクッションもたくさんあります。
それなのに、フィナは足が悪く歩けないので、天じょうばかりをながめています。
ふいに、フィナくらいの大きさの白い鳥があらわれました。白い鳥は、スケートのくつを持っていました。
「このスケートぐつをはけば、自由にスケートリンクの上をすべれるのよ。あなた、欲しい?」白い鳥はたずねました。
「ほんとうなの?とても欲しいわ。」
「わたしが何の鳥だか答えられたら、あげてもいいわよ。でも一度しか答えは言えませんよ。」
「白いから、白鳥さんかしら?」
白い鳥の目がつり上がりました。白い鳥は怒り出しました。
「わたしは白鳥とまちがえられるのがいちばん傷つくのよ!このかたわものの小娘!」
白い鳥は飛び去ってしまいました。
フィナは悲しくて涙をながして泣きはじめました。フィナの涙はまくらから床に伝い、悲しさのあまり凍ってしまいました。床一面は、スケートリンクになってしまいました。
「ウソよ。」そばには先ほどの白い鳥がいました。
「わたしは、自分が何の鳥だかわからないから、こうやって飛び歩いているの。あなたは辛い思いをしているわね。このスケートぐつはあなたにあげます。悲しい時はお泣きなさい。そして、涙のスケートリンクで自由にすべって、ビールマンスピンでもなんでもしなさいな。」
白い鳥はそう言って飛び去りました。
(終)