真夜中の洗濯(Midnight washing)

また今宵も夜がやって来るのか
頼みもしないのに毎夜訪ねて来る喪服色の闇
もはや太陽は駆逐され、薄明さえも息を引き取った
そして今夜、テレビに死ねと言われた

わたしはただただ洗濯をした
夢見る自由さえ奪われて、
犬の唾液で黒ずんだサルのぬいぐるみ
歯ブラシで夜通しこすった
犬のおもちゃのサルを後生大事に手のひらに乗せ、
ブラシで何時間も洗濯をした

もしも夜を満たす星々が
ミラーボールみたいに大っきかったらどうだろう
ゴッホの絵の星みたいに!

空鏡が銀色一色で、大地が漆黒の黒装束で
あなたのあの凛々しい後ろ姿が
この港町にほんのりと輝いていたら
あの、あなたの、今まで出会った無数の男達をまとめ上げたような後ろ姿が
星の明かりを荘厳に背負っていたら
わたしはうっとりとするだろう

気が付くと外が白んでいた
寒いなか庭に出ると水色の空に
まだ消えない小さな星
葉の落ちた楓の枝をくぐる星
わたしはこの光景を一生忘れない

ストローで息をしているような酸素不足のこの世情にも
また太陽がやってくる
わたしはもはや夜を恐れない
怖れるものなど何もない

死ねと言われて死ぬのは
わたしにはあまりに甘美過ぎて
眠れない、眠れない、と不眠夢を見てはうわ言を呟く
ヌケヌケと寝言を囁き犬に頬ずりしながらヨダレを垂らす

暗澹たる真夜中の舞で星に吠え
月に向かって血肉の舞
この、なけなしの金で買った壮大な邪淫の歌劇
アリアのない歌劇を真夜中に演じる
老いた声で歌い、傷だらけになって星を掴み、
血まみれの王冠を戴いて血を舐める
紅の王冠を頭に乗せて一心不乱に舞い踊る

投稿者: リュッツォ(Ryuzzo)

1969年生まれの男性。子供の頃から言葉に敏感で小学校低学年で文章能力を自覚しました。高校生の時には作文の懸賞で大画面テレビを(^_^;) 94年に白井俊介という筆名で薔薇族デビュー。4作品掲載。99年タテイシユウスケでBadiデビュー。5作品掲載。タテイシユウスケ名義で第9回バディ小説大賞特別賞受賞。00年代にWebサイト『調香室』に移行。2008年までサイトで執筆活動していました。その後しばらく執筆活動から離れていました。ペンネームを2018年にリュッツォに刷新し、金澤詩人賞に応募したところ、賞の候補として選ばれ詩人デビューしました。現在、様々な創作活動をしているおじさんです。瀬戸内の濃厚な遺伝子と北陸の農民のハイブリッド。 犬と植物が好きなおじさんです。G-MENには投稿したことがないのですが、どちらかというとジーメン系でぼちぼちサムソン系(^_^;) 中のおじさんは温厚な性格の坊主頭のおじさんですが、創作物はなぜか暗めのドリーミングな感じになってしまう💧

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