シャコンヌは恋の歌

チェックのカーテンの織り布の中にすら
あの医師の青さが縫い込まれている

子供たちが遊ぶ公園のベンチのそばを、
犬とさすらうお爺さん
坊主頭の、リュッツォ爺さん

それは十二月の、
大晦日が待ち遠しいほどほどの頃合いに、
シャコンヌ越しに見る昼間のカエデの宵待ち月

枯れ果ててしまった冬の楓
池には忌々しきスイレン
主の創造はどこまで連なるのか

生命が、
一編のシャコンヌのごとく響くこの港町

「上見て」
ライトをわたしの瞳に当てる医師

わたしは従う、
遠し人に、従う
あの日のあの医師に

もう会えないのか、
また会えはしまいかと、

老いた足を引きずって町をさすらい
朧げな記憶、肖像画、

恋に溺れて恋をする
絶望的に一人の恋は、
絶望的なカタオモイ

愛は自分を認識した時に体現される
愛は自分を娶った時に現実になる

わたしがここまで歩いてこれたのは、
なぜだろう

あなたの残像を求めてきた

あなたへの、
腹立たしいほど真っ赤な恋に頬を染め、
怒りに満ちたヴァイオリンの弦

薬を飲んでまで生かされた
愚かなわたしの、
愚かな武勇伝

ろくに話すチャンスすら与えられなかった、
気高い恋

もう会えないという絶望的な苦しみに、
光が射し

ヴァイオリンの弦は、
わたしの怒り狂った恋を歌う
あの人の残像をまだ拗らせている

バッハ、バイオリンソナタ&パルティータ

どちらも演奏はギドン・クレーメル氏。若かりし頃のクレーメル(右)と晩年のクレーメル(左)。このアルバムの中にJ.S.バッハのシャコンヌが入っています。

投稿者: リュッツォ(Ryuzzo)

1969年生まれの男性。子供の頃から言葉に敏感で小学校低学年で文章能力を自覚しました。高校生の時には作文の懸賞で大画面テレビを(^_^;) 94年に白井俊介という筆名で薔薇族デビュー。4作品掲載。99年タテイシユウスケでBadiデビュー。5作品掲載。タテイシユウスケ名義で第9回バディ小説大賞特別賞受賞。00年代にWebサイト『調香室』に移行。2008年までサイトで執筆活動していました。その後しばらく執筆活動から離れていました。ペンネームを2018年にリュッツォに刷新し、金澤詩人賞に応募したところ、賞の候補として選ばれ詩人デビューしました。現在、様々な創作活動をしているおじさんです。瀬戸内の濃厚な遺伝子と北陸の農民のハイブリッド。 犬と植物が好きなおじさんです。G-MENには投稿したことがないのですが、どちらかというとジーメン系でぼちぼちサムソン系(^_^;) 中のおじさんは温厚な性格の坊主頭のおじさんですが、創作物はなぜか暗めのドリーミングな感じになってしまう💧

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