卒塔婆

立ち待ち月
宵闇のロードスターで
髪の毛を撫でられているうちに
お父さんは死んでしまいました

小暑の、まだ闇が暑からぬころの晩
今どき電報が届きました
チチキトクスグカエレ

わたしがこさえるまで、
お父さんは、
お墓を作ってもらえませんでした

本家の叔父が、
うちの身内の骨は
この町から出さぬと言って
分骨させられました

小さな骨壷に少しだけお骨を入れ、
その上に卒塔婆が建てられました

卒塔婆は翠雨をさらさらと浴びました

母は大きな方の骨壷を抱えて
町をでました
すべて親戚に奪われて

お墓を建てて十年が過ぎ、
わたしは内緒で、
卒塔婆の下の骨壷を掘りに行きました

無我夢中で掘り返しましたが、
どうしても見つかりませんでした

冷たい空気の日、
そうとは言えず、
けれども夢に出てはいけないので、
それとなく母に尋ねてみました

すでに甥に掘らせたと、
母は言いました

あの卒塔婆は今でもあるのかしら?
お骨なんてとうの昔に奪い返したのに

投稿者: リュッツォ(Ryuzzo)

1969年生まれの男性。子供の頃から言葉に敏感で小学校低学年で文章能力を自覚しました。高校生の時には作文の懸賞で大画面テレビを(^_^;) 94年に白井俊介という筆名で薔薇族デビュー。4作品掲載。99年タテイシユウスケでBadiデビュー。5作品掲載。タテイシユウスケ名義で第9回バディ小説大賞特別賞受賞。00年代にWebサイト『調香室』に移行。2008年までサイトで執筆活動していました。その後しばらく執筆活動から離れていました。ペンネームを2018年にリュッツォに刷新し、金澤詩人賞に応募したところ、賞の候補として選ばれ詩人デビューしました。現在、様々な創作活動をしているおじさんです。瀬戸内の濃厚な遺伝子と北陸の農民のハイブリッド。 犬と植物が好きなおじさんです。G-MENには投稿したことがないのですが、どちらかというとジーメン系でぼちぼちサムソン系(^_^;) 中のおじさんは温厚な性格の坊主頭のおじさんですが、創作物はなぜか暗めのドリーミングな感じになってしまう💧

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