亡き王女のためのパヴァーヌに捧ぐ

この壊れゆく世界の
この憂いが煌めく世界の
あの音色に捧ぐ

わたしが、ひどかった時
まだ犬も来る前だ

亡き王女のためのパヴァーヌをずっと
柩のような部屋で日がな一日過ごしていた
演奏はフジコ・ヘミングだった

ついに杖は折れてしまい
深刻な器用貧乏

わたしの鍵盤はがらがらと音を立てて
老いに軋む節々は水色の響きで

柩のような部屋でベッドに伏せ
虚ろな目で過ごしていた

夢を見た
部屋のクローゼットの中で
ユダヤ人の父親が髪の黒い娘を縛って、
折檻していた

目が覚めた時
この屋敷でまさか
と、
しばらく怖かった

もう、制御不可能な方位に
物事が転がり転がり
わたしは起きれなくなった

待合室で、
亡き王女のパヴァーヌが流れると
泣くことがあった
もう前のようには戻れないのかと

けれども、戻る必要もない
わたしはわたしの旅を続けるだけだ

お前は軌道を外れてしまった
行き着くところへ、
行き着くしかないのだ

彗星ほど美しくもなく
ただ、燃え尽きるまで

襤褸襤褸になりながら、
あの冷たき星に触れるため

夢の中で
夢に溺れ

いつの日か、
すべての色が透き通る極みへ

わたしが持っている、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」が入っているCDアルバムコレクション。フジコ・ヘミングは叙情的で、東京芸大卒の友人が言うにはエル=バシャは「譜面解釈に力を入れているピアニスト」で、辻井さんも綺麗でいいです。曲そのものが憂いを帯びて綺麗なので、どの奏者のも時々聴きたくなります。

投稿者: リュッツォ(Ryuzzo)

1969年生まれの男性。子供の頃から言葉に敏感で小学校低学年で文章能力を自覚しました。高校生の時には作文の懸賞で大画面テレビを(^_^;) 94年に白井俊介という筆名で薔薇族デビュー。4作品掲載。99年タテイシユウスケでBadiデビュー。5作品掲載。タテイシユウスケ名義で第9回バディ小説大賞特別賞受賞。00年代にWebサイト『調香室』に移行。2008年までサイトで執筆活動していました。その後しばらく執筆活動から離れていました。ペンネームを2018年にリュッツォに刷新し、金澤詩人賞に応募したところ、賞の候補として選ばれ詩人デビューしました。現在、様々な創作活動をしているおじさんです。瀬戸内の濃厚な遺伝子と北陸の農民のハイブリッド。 犬と植物が好きなおじさんです。G-MENには投稿したことがないのですが、どちらかというとジーメン系でぼちぼちサムソン系(^_^;) 中のおじさんは温厚な性格の坊主頭のおじさんですが、創作物はなぜか暗めのドリーミングな感じになってしまう💧

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