The day it happened….

空から「ダフニスとクロエ」の合唱が降り注いで来そうな青空の下、
アンゴラ公国製の青い自転車でヨロヨロと走った
 
とにかくその数日間はしんどく
病気で死ぬのなら許してもらえる、
それほどしんどく
 
病気で死ぬのなら許してもらえる、
そう思った
 
狂って死なれたらたまったもんじゃない、だろうし
病気なら、許してくれるだろうか、と
 
肩で息するほど苦しく、
汗に塗れ
 
上げ扇の空
月もなく
 
夕食の時、
「わしは今日死ぬんじゃろうか?」
と母に尋ねるほど苦しく
 
「バカなこと言いんさんな」
 
二ヶ月風呂に入っていなかったが、
身体は臭くなかった
 
死ぬ前にキレイにしておこう、と
なんとか無理して風呂に入った
 
足の甲が黒ずんでいたので掌で擦ってみたら、
垢がポロポロと落ちた
 
風呂上がり、
体を拭いて、スウェットを着た
 
なぜボロボロのパジャマに着替え直したのか、
記憶がない
 
あとは初恋の人ぞ知る
 
あの、初恋の医師が、
わたしを覗き込む
 
錯乱状態に陥ったわたしの目にライトを当て
「上見て!」
 
わたしは長い夢を見ていたのに
その指示には従った
 
彼の医師が湖の上から覗き込み
わたしは溺れて沈む白鳥
 
わたしは気絶して
錯乱していたらしい
 
あの、たった1秒か2秒の医師の面影
ダフニスとクロエの合唱ほどの闇の、
湖の上の人
 
水底で気泡をぷくぷくと吹いていたわたしを見つけた
あの深夜の、蒼ざめた神性
わたしの瞳の手紙を読んでくれた人

ラヴェル作曲バレエ、ダフニスとクロエ

SACDです。ご注意ください。

シャガールがダフニスとクロエをテーマに絵を描いていると去年シャガールの展示会で知りました。

投稿者: リュッツォ(Ryuzzo)

2019年金澤詩人賞候補として詩人デビューしました。1969年生まれの男性。90年代は薔薇族とバディで小説を執筆させていただきタテイシユウスケ名義で第9回バディ小説大賞特別賞受賞。00年代にWebサイト『調香室』に移行。しばらく執筆活動から離れました。ペンネームは2018年にリュッツォに刷新しました。瀬戸内の濃厚な遺伝子と北陸の農民のハイブリッド。算命学占い始めました。 中の人は劣悪な境涯で生きてきた割には温厚な、犬好きのおじさんです。

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