サイアム・パープル1

この紫のスイレンのために、池を掘った
オーロラをあきらめた先に見える、
瑠璃色のムラサキの呪われた睡蓮

かなりの陽射し無しでは咲かず、
陽当たりの良い場所に池を掘った

二年越し
ようやく蕾を上げ、
念願の開花

太陽が黄道を昇りはじめた時の、一筋の光
蛍光色の、
光が射せば蛍光ピンクに見える花弁

わたしの影の中では麗しいムラサキの、
どうやって注入したのか、
青い色素を与えられた、
モネですら見れなかった青い耐寒スイレン

球根と根っこの不吉な交配種
新鮮な朝にすっくと凛

温帯スイレンと
熱帯スイレンの
亜属間交配種

沈みゆく太陽の先の王者
青い南西の根も南西

ここまで邪悪である以上
祝福を待った甲斐はあった

ついにこのような交配がなされた今
もはや、出生などに道筋も行方もない

この呪われた屋敷に
いつまでも咲き続けるがよい

すべては存在し、
存在するものがすべてだという空性の孤独

その孤独を見つめてしまった以上、
孤独に歯止めがかからなくなってしまった

陶器

肌を
磨いて
磨いて
白い陶器にして

あなたの
肌を
磨いて
磨いて
白い陶器にして

二人で磨いて
磨いて

陶器の肌を
こすり合わせて

二人の体は
陶器のように
冷たくて

こすり合わせた
その音色
切なくて

温もりのない陶器を
こすり合わせて

心まで
陶器になって
冷たくなって

二人はぶつかり合って
粉々に壊れて床に落ち

お互いの破片の見分けがつかない

But,
二人で互いにカケラを拾いあって
二人を拾い集めて
またやり直せるだろうか

六月

六月が来た
どうりで日が長いはずだ
雨がしとしとと降り続くなか咲いていたスイレンは、
だらしなくもしどけなく閉じ
夜が来る

夜が来ると、何月だって一緒だ
いや、やはり違う
やはり六月の夜だ

空気は湿り気を帯び
朝まで眠りは深い

お前が生まれた六月
麗しい翠雨の囁き

雨が降り続くが気分は沈まない
変わり目の微かな痛みは越えた

あの人の半袖姿が見れるまで
生きていて良かった

あの雨上がりのBack View
少し焼けた腕を振って歩くあの人

わたしは縁側から雨を浴びる楓を眺め
ふいに昼間の月を見上げ
あの人の窓

空から落ちてくるのは
もはや涙ではあり得ない

わたしとお前が遊んだこの庭を
隅々まで濡らし
わたしとお前が遊んだ跡を消す
雨雫の六月

石鹸

ささくれた手を
白い石鹸で洗っていたら
その白い石鹸が、
ギザギザになってしまった

その白い石鹸で手を洗い続けていたら
わたしの手は棘だらけになった

棘だらけの手で
散々傷つけて

だから、

棘だらけになった手を軽石で磨いて
磨いて磨いてきれいに磨いて
ツルツルの手に戻したいのだ

また手を組んでお祈りできるように
跪き、
赦されることをお祈りできるように

クリスマスローズの花

まだ春遠い寒い春のひそか雨
うつむいたクリスマスローズの花弁を雨がつたう
余寒はゆるみ、
深い朧雲にも気分は沈まない

暗黒の闇にLEDのユリが花ひらく
それはそれはうっとりと、
眼前で開いてゆく
そんな幻覚を見た

深海から始まった竜の物語りは牡牛座を離れ
マジョルカ島を離れたリヴィドゥスは極東へ向かった

やわらかい受粉を経て二重になる
わたしの王子様は老化で二重

クリスマスローズの花の、
花弁に見立てられているのはガクが進化したものだそうだ
寒い冬を越すと黒くなる品種まで作られた

シングル、ダブル、セミダブル
この荒んでゆく丘を、
冬を越えて潤し、
けれども酷暑に落ちるものもある

ペイルブルーのホテル

明け方の夢だった
わたしは八角形の踊り場にいた
壁がペイルブルーのラグジュアルなホテルだった
憧れのあなたが部屋にいた
わたしが部屋に入って行くと
あなたはわたしの横に並んでくれた
温かい体温を側に感じた
突然、あなたはわたしの手をとって軽く握った
そしてこう言ったのだった
「わしら、ほんまは兄弟なんよ」
あなたは照れていた
わたしも照れていた
わたしたちは二人とも照れ笑いを浮かべた
あなたの手の温もりが嬉しくて、一日上機嫌だった
こんなに近くにいるのに
あなたは遠い存在だ
あなたに手紙をしたためたい
ペイルブルーのホテルにて

厳島神社推古天皇祭遙拝式

5月18日、厳島神社の雅楽、舞踊のイベントに参加しました。昇殿量300円のみで雅楽や舞楽が楽しめるイベントです。おそらくみなさん、舞踊がどんなかの方が興味があるのでしょうが、動画はたくさん撮りましたが、一般人の方の顔が写ってしまったので舞踊の動画の掲載は自粛します。

雅楽の生演奏を観たり聴いたりも貴重な体験かと思いますので、雅楽の生演奏から、踊り手が下がって行くところの映像をアップします。

そしてその後に写真。厳島は美しい島です。故郷ながら本当、恋い焦がれて見惚れてしまうくらいです。