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薔薇族掲載ゲイ小説Kindle Unlimited参加のお知らせ

現在はリュッツォというペンネームを使っておりますが、薔薇族に投稿するときは主に白井俊介というペンネームで投稿していました。そのほかは広岡智などです。薔薇族デビュー作「真夜中の雨」を書いたのが1994年、掲載されたのが95年の1月号でした。

故・長谷川サダオさんという当時ゲイのイラスト業界では「画伯」と呼ばれていたような大御所にイラストをつけていただき、とても嬉しかった反面、なんか怖かった思い出があります(笑) わたしがまだ24、5でしたからね。

今年薔薇族デビュー25周年にあたる節目となりましたので、薔薇族掲載作4作をKindle Unlimitedに参加させることにしましたのでよろしくお願いします。Kindle Unlimitedの方は下記のリンクから飛んでいただけると嬉しいです☺️

「真夜中の雨」。薔薇族1995年1月号掲載ゲイ小説「掠奪」。知的で都会的な孝志と出会った智は順調に交際していたが、孝志の友人で正反対のワイルドなタイプの健次に無理やりレイプされて関係にヒビが入る。そして三人は微妙な三角関係となる…。健次のしたことは許せないが、憎めないタイプで、情熱的に愛を告白してくる。智は翻弄されてしまい…。結末はどうなるのか、当時の薔薇族の性描写を交えながら送るストーリ性の高い短編小説。原稿用紙約40枚。筆者処女作品。94年執筆。

「卒業旅行 – ふたりだけの一夜」。薔薇族96年1月掲載ゲイ青春小説。大学生の主人公はアメフト部の同級生に片思いの恋をしている。四年間も思いつめていた片思い。彼のことを見つめるだけで切ない日々を送っていた主人公。どうしていいかわからないまま時だけが流れて卒業を迎えようとするとき、二人だけで過ごす一夜が訪れた。ふたりだけの一夜。せつない片思いを描いた小説です。性描写なし。薔薇族掲載時筆名は広岡智彦。薔薇族での副題は「ふたりだけの一夜」でした。95年執筆。

「ほほにかかる涙」。薔薇族96年3月号掲載ゲイ小説。タイトルはイタリアのカンツオーネの曲から取ったもの。勇作と美形の正雪はお互いに好意を持っているのにうまく表せずにお互いに割り切りの関係だと言い訳する。焦ったい切ないラブロマンスをとにかくロマンティックに描いた安定のハッピーエンドです。掲載時筆名は白井俊介。こちらは表紙がフリー素材版で、イラスト版と内容は同じです。価格も同じなのでお好きな方をお選びください。95年執筆。

「雨の牙」。悲恋ですが大作です。薔薇族2000年連載作品。連載時ペンネーム白井俊介。いわゆるホワイトカラーの勇一はひょんなきっかけで肉体労働者の竜二と出会う。最初は竜二を見下していた勇一だったが、竜二の優しさに接するうちに愛し合うようになる。しかし竜二には雨が降ると悪魔が降り立ち…。二人は悲劇の深みにはまります。二人の間の悲劇を丁寧に描いています。悲恋に終わる、救いようのない物語ですが、二人が愛し合った時間は事実だと受け止めてください。とても悲しいと反響のあった、薔薇族が二年も待ってくれて掲載してくれた大作です。原稿用紙100枚の中編で、雑誌掲載は難しい枚数でしたが、薔薇族が認めてくれて待ってくれた作品で、他のゲイ小説ではない深いストーリーの作品です。97年執筆。

薔薇族96年1月掲載ゲイ青春小説「卒業旅行 – ふたりだけの一夜」

 夕暮れのグランドはなぜかさびしく、駆け抜ける風は冷たくて、ぼくはブルゾンの胸をかき合わせた。ひざの上に開かれた本のページは、夕日に赤く染まり、風が吹くたびにぱらぱらと音を立てておどっている。フェンス越しに、練習を終えた選手達が小気味良い駆け足で引き上げていくのが見える。

 その中に久保田がいた。

「おーい、広岡」

 ぼくに気付いた彼は、ヘルメットを小脇に抱えて走ってきた。

「やあ」

 ぼくは、軽く手を挙げて挨拶する。

「なんだ、お前、また見てたのかよ。よっぽどアメフトが好きなんだなあ。だったら入部すればいいのに」

「いまさら…」

 ぼくはそう言って笑顔を作ったが、ぼくの気持ちに気が付かない彼を恨めしく思ってせつなくなった。ぼくが好きなのはアメフトなんかじゃなくて久保田なのだ。

「そうやって本ばっか読んでないでさあ、体を動かせよ」

 久保田は、屈託のない笑顔を浮かべた。

「そうだね…」

 彼の笑顔につられて、ぼくの顔はほころんだ。だが、胸の底に広がる酸味はますますぼくを落ち込ませる。

「なあ、もうちょっと待っててくれないか? 一緒に飯でも食おうぜ」

 久保田は元気のいい声でぼくに呼びかけ、そしてサークル棟の方へ走って行った。

 彼が姿を消してしまうと、ぼくはひざの上の本を閉じてベンチを立ち、あたりをぶらぶらと歩いて彼を待つ。何をやってもがさつで早い彼は、すぐに着替えをすませて出てきた。彼の盛り上がったジーンズの太股を見て、ぼくはいけないことをしているような気になって目をそむける。

「お待たせ。いつもの店に行こうぜ」

 久保田は、ぼくの背中をぽんぽんと手のひらでたたいた。日に灼けた彼の笑顔は夕日に染まってますます赤らんでいる。彼はさっさとぼくの前を歩き始めた。ぼくはわざと遅れて歩き、彼の広い背中を見つめてまたせつなくなる。久保田の姿を見つめていられるのも、あと半年足らずだ。ぼくたちには卒業が迫っていた。

 正門を出て駅へと向かう道をまっすぐに歩くと、クラスの連中でよく行く喫茶店がある。ぼくたちはそこに入った。今日は知った顔もいない。馴染みのウエイトレスがやって来たので、ぼくたちはそれぞれの注文を告げた。

「ねえ、彼女とはうまくいってるの?」

 ぼくは久保田に何気なく聞いてみた。

「いまいちうまくいってねえなあ」

「そう…、たいへんだね」

 ぼくは妙な期待さえ抱いてしまう。

「お前こそどうなんだ? 彼女は出来たか」

「ぼくにはいないよ」

「お前って、変な奴だよな。四年間、女の一人も作らないで本ばっか読んでてよ。興味ねえのか?」

「そういうわけでもないけど…」

 彼の他意のない質問が、ぼくにはやはり恨めしくて仕方がない。

「ギラついたところがないもんな、お前。まあ、でもそこが俺にとって付き合いやすいところなんだけどよお。部の連中なんてむさ苦しくてやってられねえよ。みんな獣だぜ」

 大柄な久保田は肩をすくめて言った。

「ぼくみたいにみんなに加わらずにいつもひとりぼっちの人間、軽蔑してない?」

 ぼくは、久保田をまっすぐに見つめて言った。普通の人なら「ぼくみたいな男」と言うのだろうが、ぼくは自分のことを「男」とはどうしても呼べない。いつも「人間」とか「人」とか言っている。

「そんなことねえよ。お前は不思議で、いろんな意味で魅力があるぜ。なんか、よくわからないけど…」

 久保田は、ぼくの視線に押されたのか、見返すことが出来ずに目をそらした。

 二人でなんとなくもじもじしていると、料理が運ばれてきた。久保田はものすごい勢いでがつがつとかき込み、あっと言う間に平らげてしまう。彼はいつもおいしそうに食べた。

「今年で卒業だな」

「そうだね…」

 ぼくは言葉に出来ない思いをかみしめた。

「お互い同じところに就職が決まったし、良かった、良かった」

「ああ…」

 ぼくは言葉を濁した。

 ぼくはこれからも久保田と一緒にいたいというだけで、興味もない商社の入社試験を受け、内定を貰っていた。だが、こんなのでいいのだろうかという疑問もあった。

「卒業旅行、どうするの?」

「俺? さあな…。お前は?」

「まだ決めてない。行くかどうかもわからないよ」

「どっちみち、クラスのみんなで一度くらい何かやるだろう。お前も顔くらい出せよな」

「たぶん…」

「お前はつきあいが悪いからなあ」

 別に好んで人をさけているわけではなかった。酒の席の女の話に耐えられないだけなのだ。とくに久保田の彼女の話を聞くのはつらかった。

「それじゃあ、そろそろ帰るか?」

 久保田とぼくは店を出て、駅への道を肩を並べて歩いた。並べたと言ったって彼の方が十センチくらい高いのだが…。日はとうに暮れてしまい、冬が近づいていることを示すもの悲しげな闇が商店街をおおっている。照明が乾いた空気ににじむ様がますますさびしい。

「気をつけて帰れよ」

「久保田も」

 ぼくたちは駅で別れて別々のプラットホームに降りた。しばしのあいだ向かい合っていたが、駅に入った電車が久保田のあどけない微笑みを隠してしまう。ぼくは久保田が時々見せる子どものような笑顔が好きだ。それをもう一度見ようと向かいのホームに目を凝らしたが、彼の姿は見えなかった。

 久保田はぼくより一回上だったが、アメフトに打ち込みすぎて二年生に進級できなかったため、ぼくが入学したとき彼は同じクラスだった。久保田には、留年生にありがちな卑屈で投げやりな態度はまったくなく、ぼくたち新入生とすぐに仲良くなった。

 大柄な陽気者の彼は、いつもみんなを笑わせていたのでクラスの人気者だった。女の子の間でもずいぶんとモテていたが、あんがいに純情なところもあってなかなか女の子と口がきけないでいた。それと、せっかくできた仲間を差し置いて女にかまけるという事が出来ない性格らしい。クラスではいつもぼくたちの仲間とつるんでいて、授業が終わるとすぐにアメフト部へと走っていった。

 ぼくは、彼の無垢で男らしいところが好きになった。彼の素振りから、彼がぼくを好きだということもすぐに判った。成績だけは良かったぼくを、彼はいつも尊敬のまなざしで見ていたのだ。そしてぼくも、自分にはない男らしさを持った彼にしだいしだいにひかれていった。久保田とぼくが仲間の中で特に気が合うというわけではなかったが、二人きりで話している時はなんとなくほのぼのとした雰囲気になって、彼といるだけで気分が晴れやかになったものだった。

 だが、ぼくは二人の均衡を狂わせてしまった。彼に恋をしてしまったのだ。彼と時を過ごしているうちに、彼を単なる友達ではなく、特別な存在と見なしている自分に気が付いた。彼のことで頭がいっぱいなのだ。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

こちら薔薇族掲載作品になります。性描写なしのノンケへの片思い、学園もの、青春ものになります。当時からやはり同級生への憧れというのはゲイ小説の題材の一つで、それは今も変わりませんよね。

電話ボックスが出てくるあたり時代を感じさせますが、良かったらぜひ電子書籍で読んでくださいね。

わたしはあまり青春ものを書かなかったのですが、書くとしたらやはり片思いの切ないものがよいなあと思っておりました。

薔薇族に投稿した二作目も採用していただき、嬉しかった覚えがあります。性描写がない作品を採用するというのは雑誌側からするとチャレンジになるのでしょうが、ノンケへの片思いというのはゲイにとって普遍のテーマなんでしょうね。時代にかかわらずあることだと思いますし、ゲイならでは書けた作品だと自負しております。

AmazonのKindleとApple Booksで取り扱っています。

Apple Books ↓

http://books.apple.com/us/book/id14680564

Kindle ↓

タテイシユウスケというペンネームで「調香室」という書き物サイトをやっていました。

現在はリュッツォというペンネームを使って書き物をやっていますが、過去には白井俊介やタテイシユウスケというペンネームで薔薇族、Badiといった雑誌でゲイ小説を書かせていただいておりました。

もう20年前のことなので打ち明けても時効だと思いますが、Badiの方から「もっとエロいのを書いて欲しい」というようなことを言われ始めたんです。わたしは純文学的なことがやりたかったのと、2000年頃にはネット上で女性読者を対象にしたボーイズラブが書かれるご時世になっていたので、Badiと袂を分かつ決意をしました。

それから長いことタテイシユウスケのペンネームでオンライン小説を書いていて、当時わたしは会社員をやっていたので収入も安定していていたので、お金のことよりも自分の表現を優先させてサイトでは好き放題にしていました。

当時は小説サイト「調香室」といえば結構な数の腐女子や文学好きの方が訪れてくれるサイトとして少しは名を馳せていました。

で、しばらく書き物から遠ざかっているうちにわたしは時代に取り残され、、、。

2008年に閉鎖した「調香室」のイメージで現在のサイトを復帰させたのですが、ホームページの時代でもなくビジターも過去のようではなくて…。

それでもわたしの表現の場としてこれからもやっていきたいと思います。

「調香室」をやっていた時との決定的な違いは、今では電子書籍化できることです。これは読者にとって出費は伴いますが縦書きでキレイに読めるという利点もあります。また著者側には利益はもちろん、きちんとした形で市場に置き、残せるという大きな利点があります。

ですので基本、公開レベルに達した仕事ができた場合は電子書籍化しますが、小さな書き物はサイトでも扱っていきたいと思います。

よろしくお願いします☺️

00年薔薇族連載ゲイ小説「雨の牙」

拙作、2000年薔薇族連載作品「雨の牙」について。こちらの作品、もう救いようのない悲恋に終わる作品なのでメンタルが強い時に読んでいただきたいのですが、原稿用紙100枚の壮大な悲劇を薔薇族に投稿し、薔薇族の方でも作品のクオリティを買ってくれました。しかし100枚となると一度で掲載しきれなくて連載になってしまう。

エロいハッピーエンドで終わる短編が多く送られてくる中、薔薇族もなかなか掲載に踏み切れなかったようですが、捨てるに捨てられない壮大な悲劇だったもんですから、編集部も2年間、掲載のタイミングを考えてくださったようで、97年に執筆した作品ですが2000年にようやく日の目を見ました。

この作品の掲載に時間がかかってしまったもので、わたしは「ボツなのかな?」と思ってBadiに投稿するようになっていたんです。この作品がもっと早くに掲載されていたら、Badiに送って掲載された作品も薔薇族に送っていたのかも…。

では以下、一部伐採です。

 勇一は、竜二の全身を舐めるように見た。竜二のもう片方の腕は下半身を覆ったタオルケットの中に礼儀正しく突っ込まれていた。勇一はそれをそっとはがしてみた。すると、竜二の手は自分自身の萎えたぺニスを握っていた。勇一は笑った。まただ。彼は思った。彼はこの光景を毎晩見ていた。彼は竜二の胸を揺すった。

「なんだよ…」

「ねえ竜二、前から気になってたんだけど、どうして竜二は自分のちんちんを握って寝るの?」

「ん? 手が淋しいんだよ」

彼は目をつむったままで眠たそうに言ったが、照れ笑いを浮かべていた。

「いつもそうやってるの?」

「ああ、小さい頃からの癖なんだ」

「変なの…」

「ははは…、うるせえなあ、なんか落ち着かねえんだよ、手が」

「それじゃあぼくのちんちんを握ればいいじゃない」

「へへへ、それもそうだな」

 勇一は竜二の手を自分の股間へ運んだ。

「これでもう淋しくないでしょ?」

「ああ」

「朝まで放しちゃダメだよ」

「はいはい、わかりましたよ」

 しかし次の朝目が覚めると、勇一は竜二が彼自身のぺニスをまた握っているのを発見した。彼は嫉妬した。どうして自分のではダメなのだろう? 自分のでは淋しさがまぎらせないのかな、と。毎晩同じことを試してみたが徒労に終わった。いつも朝が来ると、竜二は自分のぺニスを握っているのだった。勇一はその奇妙な光景を目にする度、竜二って変だなと思った。

 ふたりが知り合ってからちょうど一ケ月経ったころだった。九月に入ったばかりのある晴れた日曜日、勇一は下高井戸のマンションに帰ってセミダブルのベッドを運び出した。つぶれた湿っぽい煎餅布団にうんざりしたからだ。彼は運送屋に指示して部屋からベッドを出させた。そして玄関を出ようとして何気なく部屋の中を振り返った。部屋の中はすっかり空っぽになっていて、そこはもう人の住む所とは思えなかった。彼は運送屋を下に待たせ、残りの荷物をかき集めた。

 彼は部屋を引き払う決心をした。竜二は一瞬驚いたが、

「お前がすることなら、俺はなんだってかまわないぜ。どっちみち一緒に暮らしていたようなもんだしな」と笑って言った。勇一は、その笑顔を見て自分の決断に間違いはなかったと確信した。

 その晩、勇一はマンションから持ってきたCDを祭りの露店でも開くように畳の上に並べて整理した。竜二はその様子をそばで眺め、CDを一枚手に取って首をかしげた。

「こんなに持って来たら邪魔かなあ?」勇一は申し訳なさそうに言った。

「うんにゃあ、そりゃあかまわないんだが、お前、読むだけじゃなくて聞くこともできるんか、英語?」と、時々出る九州訛で訊いた。竜二のぱっちりとした二重瞼の下では黒々と澄んだ大きな瞳が好奇心旺盛な子供のように光っていた。勇一は彼の目が好きだった。

「ねえ、竜二の目ってどうしてそんなに透き通っているの?」

 勇一は竜二の頬を両手で包み、それから瞼をそっと指でなぞった。

「どうしてって…。うーん、俺の目って透き通ってるのかなあ」

「ほんとにきれいな瞳だよ」

「そりゃあたぶん、お前ばっか見てるからだよ」

「バカ…」

 勇一は竜二の首に腕を回して口づけた。竜二は勇一の体を包み込むように抱いた。竜二の体にすっぽりと包み込まれた勇一は、そこが彼の本来の居場所のような気がした。それは、彼が東京に出てきて以来初めて感じる安らぎだった。彼はやっとできた居場所を愛撫した。彼はもう他に居場所は要らないと考えた。

「ねえ竜二、ぼくといて幸せ?」

「当たり前だろ」

「ぼく、ずっとここにいてもいいの?」

「お前がいたいんなら、いつまでだっていいぜ」

「ぼく、会社を辞めようと思うんだ」

「なんだよ、いきなり」

「ぼく、竜二の世話をしたいんだ」

「今でも十分世話になってるぜ」

「もっとしたいよ。ねえ、ダメかなあ」

「お前が言うことなら何でもOKだぜ。お前一人くらい俺が食わしてやるよ」

「ほんと!?」

「お前こそ俺なんかといて幸せなのかよ」

「どうして?」

「俺、お前と違って頭悪いしよ」

「関係ないよ。ぼく、竜二のこと誇りに思ってるよ」

「なんでだよ…こうするからか?」

 竜二は意地悪く笑いながら勇一の首筋に吸い付いた。勇一は身をのけぞらせた。竜二は彼をベッドの上に運んだ。ふたりは体を重ねた。するとまた勇一の細胞が時を刻み始めるのだった。

 殺風景だった竜二の部屋はすぐに勇一の色に染められてしまった。勇一は植物が好きで、サボテン等の観葉植物から色とりどりの花を付ける鉢植えの草木を集めていた。また、彼は街で美しいキャンドルを見つける度に買わずにはいられなくなった。ピラミッド形のキャンドルやボール形の押し花キャンドル、そして側面に金彩を施したキャンドルを部屋に飾った。彼は今まで自分のそういった嗜好に気が付かなかった。自分が同性愛者であることを隠そうとする機能が心のどこかで働いていたため、彼が本来持っていた美しいものへの憧憬を押し殺していたのだろう。それが竜二と暮らすことによって蘇ったのだ。人を疑うことを知らない竜二の透き通った瞳と見つめ合うことで、勇一の目を覆っていた猜疑心というもう一枚の網膜が消滅してしまったのだ。

「それにしても見違えちまったな」

 竜二は、突然色彩があふれてしまった自分の部屋を見回して言った。

「こういうの嫌い?」

「俺はもともと部屋なんて気にしねえからいいけどよ、人が見たら何て言うかなあ」

「女っぽいかなあ?」

「ちょっとな」

「イヤ?」

「なに拗ねてるんだよ。俺、お前のこと好きだっていつも言ってるだろ」

 竜二は勇一を抱き寄せて頬にキスした。彼は勇一のすべてを受け入れた。

 変わったのは竜二の部屋だけではなかった。勇一の生活も一変した。彼は仕事を辞めて竜二の世話に専念した。働くといえば生活費の足しにするため近所の塾でワープロ打ちのアルバイトをするだけだった。彼は竜二の世話をすることに生きがいを見出だした。これまで無縁だったヘルメットや作業着も今ではすっかり馴染みのものになった。毎朝目覚めると、勇一は竜二に朝食を食べさせて送り出した。竜二は朝食を食べ終えるとベッドに腰掛けて必ず勇一を呼んだ。

「おーい、靴下」

「はいはい」

 勇一は竜二の前に座って片足ずつ靴下を履かせてやった。これは毎日の儀式になっていた。それをしてやらないと、竜二は拗ねてなかなか部屋を出ようとしないのだ。たとえきちんと儀式を終えたとしても、竜二はすぐには部屋を出なかった。彼は玄関先で勇一に何度もキスをねだった。

「早く行かないと遅れちゃうよ」

 勇一が急かしてはじめて竜二は部屋を後にした。勇一はわざと素っ気なく彼を送り出すが、実は彼が部屋を出たあとでこっそりドアを開け、彼の後ろ姿が消えてしまうまでずっと見守っていた。

 勇一は竜二が出かけた後、竜二が脱いだシャツを洗濯籠から拾い上げて鼻に押し当てて匂いを嗅いだ。彼は竜二の臭いが好きだった。彼がいない間も、そうやって彼を感じていたかったのだ。彼はその後家事を終えると塾のバイトにゆき、午後いっぱいそこで働いた。彼は塾の英語講師として働くことを勧められたが、家に帰ってまで翌日の授業の予習をするのは嫌だったので断った。彼は竜二と過ごす時間を何よりも優先させた。

 ふたりはいっしょに暮らしはじめてから連れだって外出することがほとんどなかった。たまにビデオをレンタルして観たり、まだ強い陽射しの下公園を散歩することはたまにあったが、それ以外は部屋に籠っていちゃついていた。休日の過ごし方も同じだった。ただ戯れの時間が長くなるだけだった。

 勇一は本来、旅行が好きだった。しかしそれも行きたいとは思わなくなった。見知らぬ場所へ行くと、たとえそれが竜二といっしょだったとしても、竜二が風景と同化して小さく見えるのではないかと不安に思ったからだ。

 そして彼は昔読んだ本も大切にしていたCDも捨ててしまった。今の彼には自分自身の物語を語ることができるし、竜二のために体で音楽を奏でることができるからだ。

 日を追っ夜が長くなっていった。竜二と勇一はベッドサイドにキャンドルを点して愛し合うようになった。彼らは毎晩キャンドルの灯りに包まれて体を重ねた。勇一は疲れきって眠っている竜二の裸を見るのが楽しみだった。キャンドルの灯りに照らされた竜二の褐色の肉体は、ふくよかな赤みをさして美しかった。勇一は突然彼のことがいとおしくてたまらなくなり、この五つ年上の大柄な男の体を撫で回すことがよくあった。そうやってふたりに幸せな日々が続いた。しかしそれは長くは続かなかった。

続きは電子書籍で☺️

Apple Books ↓

http://books.apple.com/us/book/id1472993411

Kindle ↓

マルグリット・デュラス「エクリール」

 わたしの小説を読んでいただいている方には昔から見られる傾向なのですが、ご自分も小説を書いていらっしゃるというファンの方が割と多いんです。いわゆるRead&Writeの方ですね。

 それでわたしも前々からわたしなりに書くことについても書きたかったわけですが、なかなかそういった機会もなく…。

 これからは書くにあたって参考になりそうなこと、試してみる価値がありそうなことについてもブログで取り上げられたらなと思います。

 今日ご紹介するのがマルグリット・デュラスという「戦後最大の女流作家」と謳われたフランス人作家の本「エクリール」。

 遡って解説すると、デュラスという作家はノーベル賞がふさわしいと散々に言われた作家です。実際に候補に上がっていたという話しですが、戦時中のドイツ軍へのレジスタンス運動で、捕まえたドイツ兵にリンチを加えていたという事実がノーベル賞に相応しくないと、最終選考で落とされたとの説もあります。それくらいの作家でわたしが敬愛している作家です。

 この本はデュラスの小説ではなくて、デュラスが書き残した「書くことについて」の本です。書くこととはどういうことなのか、書くためには何が必要なのかをデュラスが「語った」のです。おそらく文字起こしはライターがやっていると思います。

 わたしが印象に残ったのは、「作家は書かれることよりも強くなければならない」という言葉でした。

 また、一匹のハエが死ぬところを三時間観察している箇所や、やはりただ事ではない天才だったのだろうと思います。狂気についても語っています。

 良かったら下のリンクからアマゾンを覗いてみてください☺️今のところ電子にはなっていないようです。

エクリール―書くことの彼方へ

あらためまして、リュッツォです☺️

みなさん、こんにちは🙂 改めまして、リュッツォです。

わたくし、プロフィールにある通り今年50歳💦25歳の時に薔薇族という雑誌にゲイ小説「真夜中の雨」を投稿して採用されたのがデビューのきっかけとなり、それから25年が経ちます(笑)

薔薇族では主に白井俊介というペンネームで投稿していました。

そしてペンネームをタテイシユウスケに変えてゲイ雑誌Badiに「調香師」を送ってデビューを飾り、その後しばらくタテイシユウスケを名乗っていました。

40代は病気療養などあってまるで執筆できなかったのですが、昨年創作活動に復帰しました。そしてようやく今年になって過去作品を電子書籍化したりサイトを立ち上げたり。

もう既に忘れられた存在なので改めてご挨拶を🙂

わたしの作品は薔薇族作品はストーリー性を重視した傾向があり、Badi作品は文体を意識した少し気怠いトーンのものが多いかと思います。

文芸作品「海亀の眼」に至ってはマルグリット・デュラスの影響を色濃く表した退廃的な作品となっています。

ぜひお手に取って読んでくださいね🙂

Apple Books普及活動のため、Apple Booksではサンプルでかなり読めるような設定にしてあります。作品によっては最後まで読めます。特にiPhoneユーザーの方はぜひ☺️

⭐️Kindle著書一覧↓

https://www.amazon.co.jp/l/B07SGGYCFW

⭐️Apple Books著書一覧↓

https://books.apple.com/jp/author/リュッツォ/id1466157835

成人向け漫画電子書籍サイト

みなさん、こんにちは☺️

うちのサイトに来ていただいているのは主にゲイ小説、BL小説を読みたいという、いわゆる男同士のエロい小説を読みたいという方だと思います。(そういう趣旨のサイトなのでいいんです(笑)

わたしは歳も歳なのですが、最初にゲイ小説デビューしたのが薔薇族。あの頃はネットなんてなくて、しかもまだパソコンも一般的ではなくて、ワープロで小説を書いて秘密裏に薔薇族に投稿し採用される、という形でした。

薔薇族からは滅多に連絡はなく、小説が採用されたら掲載された薔薇族がいきなり送り付けられて来て、あの「お弁当箱みたい」と評された雑誌がポストにドーンと(笑)

媒体としては雑誌一人勝ちで、一人勝ちも何も他に媒体がないんですもの、今みたいにネットなんかないですから。

今はネットもあって電子書籍で縦書きで小説が読める時代ですよね。やはり縦書きの美しさは日本語の特徴ですので、当サイトでも電子書籍に力を入れている点、ご理解くださいね☺️

うちのサイトにいらっしゃる方は基本、小説が目当てかと思います。でも一定数の方は漫画にも興味があるのではないかなと思って今回ご紹介したい記事があるんです。

成人向け漫画というかエロ漫画ですよね(笑) エロ漫画が読めるサイトをいくつか紹介している記事でとてもうまくまとまっています。

なんでもdropbooksという違法サイトがあったらしいのですが、違法ゆえ閉鎖されたそうです。その代替えとなるサービスですが、きちんと合法のサービスのようです。ぜひ記事を見て目当てのエロ漫画見つけましょうね☺️ いいのが見つかることをお祈りしております🙂

それでは!