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「プロメテウス解剖学コア アトラス」のご紹介

 みなさん、こんにちは☺️ リュッツォです。今日は豪華な人体解剖図鑑のご紹介。わたしは書き物をする時に人体解剖図鑑を見て身体の部位の名前を知ったり、身体がどういう風に動くかをヒントに体の描写をしています。時には体の部位名がヒントになって書き物が湧くことも。

今回購入した人体解剖図鑑のAmazonへのリンクはこちら↓

プロメテウス解剖学 コア アトラス 第3版

こちら¥10,450になります。

中身はこんなです。ざっと写真でご紹介しましょう♫

こんなに分厚い!
おちんちんもしっかり♫
ほら、おちんちん♫

と、こんな感じですが、将来病気して胆嚢が悪いよとか言われた時に胆嚢ってどんな感じの臓器だっけ?という時に役にも立ちますね。

もちろん、これにインスピレーションを得て何か書き物するのもありかと思います。

よかったら皆様もぜひ♪

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プロメテウス解剖学 コア アトラス 第3版

BL小説「カルネバーレ」

みなさん、こんにちは☺️ リュッツォです☺️

今日はわたしが書いたBL小説「カルネバーレ」のご紹介😁

この小説、ゲイ小説というよりはBL小説で、女性人気が強かったんですよね。

一部抜粋は後に載せるとして、舞台はロンドンからベニスに移るという設定で、主人公と相手役の二人の間にたゆたう心情を情景描写を通して描いたものです。それから相手役の恋人が登場して三角関係へと移行する、というストーリー展開。

最後はどうなるんでしょうね😁

電子書籍はKindleとApple Booksで取り扱っています。ぜひ読んでくださいね。

では以下、出だしを抜粋☺️

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 地下鉄ウエストミンスター駅を出ると、テムズ河のにおいがした。二人はそのまま、船着場へと下っていった。

 春遠いロンドン。午前十時。河を滑る風は冷たい。頬を引き締める。雨に濡れた桟橋。今は雨は上がり、空は一様なグレーだ。川面は空の色を映し、魚の鱗のようにキラキラと銀色に輝いている。

 次のリバーボートの時刻まで、しばらくあった。今のところ、船着場に人影はなかった。二人は券売機でチケットを買い、それから、雨に濡れたベンチに腰掛けてリバーボートを待った。そこまでは、無言だった。すがすがしい、湿っていて冷たい空気に包まれていた。口を開いたのは、修二だった。

「お前も突然だな、こちらを訪ねて来るなり、河くだりがしたいなんて。しかも朝っぱらから」

 修二の精悍な顔の二つの瞳は、目前の川面に投げられていた。河の輝きを映していたのだろうか、こちらには、向けられていなかった。彼の眼差しが、本当の意味でオレに向けられたためしが、あっただろうか。

「修二こそ、突然音信不通になったかと思うとロンドンから手紙を寄越すなんて」

 対岸の街並み。そちらに目を向けている二人。

「その俺を追い掛けて来たのか? お前も物好きだな」修二はそう言ってこちらに笑顔を向けた。屈託のない笑顔だった。この笑顔に、今までどれほど打ちのめされて来たことか。

「オレは単に観光に来ただけさ。お前と違って、追いかけるほどの本命の恋人なんて、いやしないし」

 仕返しにそう言うと、屈託を知らない修二の笑顔は、一瞬だけ薄く淋しげな色合いを示した。それから彼は再び笑顔を作った。今度の笑顔には、嫉妬を覚えなかった。

「本命、だなんて、ずいぶん古風な言い回しだな」彼は茶化してごまかそうとした。

「借りものさ」

「何?」

「別に。ちょっと拝借しただけさ」オレもごまかした。けれども彼のごまかしには応じずに、すぐに切り込んだ。「二年もの間、よくまあオレに黙っていられたもんだな、喋りたがり屋のお前が」

 しばしの沈黙。

「喋りたがり屋かな、俺?」

「時々。黙り込むこともあるけれど。だけど、男を取っかえ引っかえしているお前に、本命の彼氏がいただなんて、聞いたこともなかったぞ」

「そういうなよ」小泉修二は、急に甘えるようにオレの肘を掴んだ。「シュンと知り合う前の話しさ」

 すり寄ってきた彼の体を、反射的によけた。その過剰な反応が遠い過去を忘れきれないでいるオレの気持ちをみずからさらけだしてしまったような気がして動揺した。小泉修二には気取られたくなかった、弱みを握られたくなかった、この男だけには絶対に。たった一度だけ彼と寝たことをオレが忘れられないでいることを。彼にとっては日常的な割きりが、オレには非日常だったあの夜。特筆すべき特徴もなかったあの夜。

「じゃあなんで、今更、昔のことを蒸し返すんだ?」オレは言った。彼への当て付けが、まるで自分への問いに聞こえた。

「事情はこちらから手紙で説明しただろう」

「あまりに支離滅裂な文章で、何のことやらさっぱりわからなかったよ。物騒な言葉が並んでいたから、何か事件にでも巻き込まれたのかと思ったぞ」

「少しは心配してくれたのか?」

「まさか」オレは、こちらを覗き込む彼の顔から目を逸らした。目を逸らすとき、目に入った。彼が疲れたような、何だかほっとしたような、けれども不安をぬぐい切れない、微妙で壊れそうな、はかない表情を浮かべている瞬間。心を打たれそうになった。そのせいで、それ以上は追求できなくなった。黙るオレ。黙る彼。しばらく黙ったままでいた二人。

 やがて、ウエストミンスター桟橋にリバーボートが入ってきた。ビッグベンが串刺しにする灰色の空の下を渡り、穏やかなテムズ河の流れをかきわけ、リバーボートがやって来た。

 合図はなく、二人はほとんど同時に立ち上がり、ほとんど同時に潤った空気を深く吸い込んだ。それから、肺を満たした湿った気体をぜんぶ吐き出した。体が萎む。その一方で、大気の移動や大河に集約された水の運動、その他ありのままの現象が、皮膚の表面組織から浸透してくる。その不思議な感覚。

 リバーボートが桟橋に着き、乗務員がゲートを開けると、いつのまにか集まっていた旅客がどやどやと詰め掛けた。人々の動きに秩序はなく、そして緩慢だった。殺伐とした東京に、思いを馳せるオレ。早送りで遠い過去へと流れてゆく錯覚。

 言葉はなく、二人はつめかける観光客の群れの最後の方から、ゆっくりと乗船した。出遅れたので、見晴らしのいい二階の船室には席がなくなっていた。仕方がないので、船底の客室へおりた。それでも何とか、窓辺のベンチに席を取れた。オレたちは、外套を着たまま腰をおろした。修二が窓辺に座った。座るやいなや、あくびをするオレ。体がはりつめたような、弛緩したような。

「時差ぼけで眠いのかい、シュン」と修二。こちらには目を向けず、船窓ごしに対岸の景色を眺めていた。にぶい波光と、薄日を受けた街並のきらめきが織り成す風景、日に焼けた修二には決してふさわしくない、リリックな景色。都会的な健康美を追求した精悍な男の横顔すらも、叙情的に包み込んでしまう。テムズの川景色には、そういう懐の深さがある。今この瞬間の川景色を背景にした彼を見れただけでロンドンに来た甲斐があったとおもう。あまりに麗しいので、何だか取り残されたような気になり、いたいけな残虐心が湧きあがる。

「眠くなんかないさ。退屈だ。修二が話してくれないからな、本命の彼氏とのことを」

「今日はやけにからむな、朝っぱらから」

「そりゃそうさ、それが知りたくて、休暇を取ってロンドンくんだりまでやって来たんだから。下世話なレポーターみたいに。しかも無償だぞ。キミの本命とちがって、ニュースの特派員じゃないからな、オレは」

「観光で来たんじゃなかったのか? ヒマなやつだな、有名人でも何でもない俺の取材に来るなんて」

 わずかではあったが、修二の口調が刺々しさを帯びた。それがどれだけオレを喜ばせたことか。そんなふうにオレをはしたない気持ちにさせるのは、修二、お前のせいだよ。お前が二年もの間、秘密を隠していたから。そしてそれを、今更のように打ち明けたのだから。

「テレビ局の特派員なんだって? 彼」オレは切り込んだ。

 リバーボートが出帆した。エンジンが船室の床を震わせ、それから船底がテムズ河の流れを切り裂き滑り出した。リバーボートは出帆した。

「ああ」

「その彼の姿を、ひさしぶりにテレビで見掛けた。早朝につけたテレビのニュース番組で、ロンドンの爆弾テロの模様を報道する彼の果敢な姿を」

「はいはい、その通りですよ」修二は投げやりに言った。「手紙にも書いていただろう、先々週の土曜日だ」

「先々週の土曜日の朝…、と言うことは」わかってはいたけれど、わざとらしく記憶を手繰るときの目をするオレ。それから修二の顔をまじまじと見つめて続けた。「その前の金曜日の晩、オレとお前は一緒に飲んでいたよな。その後お前の最近のオトモダチの近田君が合流した。お前が、最近入れあげている近田君。キミたちは、中睦まじそうにオレをひとり置き去りにしてどこかへシケこんだよなあ」

「ああ、あの素晴らしい体躯を想像するだけで、だらしない気分になるよ」

 修二は瞼を閉じ、深呼吸をした。別の小型船と擦れ違い、リバーボートがバランスを崩した。オレはゆっくりと手を伸ばし、目を閉じた修二の手、膝の上に無造作に投げ出された彼の手の指先に、かすかに触れた。修二は逆らわなかった。彼が逆らわないので、オレは少しずつ手に力を加え、彼の手の甲を穏やかに握った。彼は目を閉じたままだった。オレは言った。

「オレが察するに、あの晩、確かもう二時をずいぶんと回っていたから、お前たちが部屋に帰り着いたのは、おそらく四時近くだ。それからお前と近田君は、いつものようにセックスをした。近田君の素晴らしい体に、お前は抱かれた。年下なのに体で尽くしてくれる近田君に」

 リバーボートはテムズ河を下り続ける。オレは修二の顔を覗き込んだ。彼は目を閉じたまま、手を握られたままだでいた。オレは続けた。

「無我夢中のセックスが終わり、その余韻に浸っているお前が目に浮かぶよ。近田君の素晴らしい体にしがみついていると、気付かぬうちに、夜が明け始めていた。そうだろう? それからモーニングコーヒーを沸かし、何気なくテレビをつけてみると、早朝のニュース番組に映っている彼の姿が目に飛び込んできた」

 修二は不意に瞼を開いた。コーヒーを沸かす時に響いたコトコトという音、二人分のカップを運ぶ時の裸足の音、早朝の蠱惑的な反響と研ぎ澄まされた空気の冷たさを思い出して、はっとしたのだろうか。

 空は少し明るくなったのに、小雨が降り始め、船窓に、微細な雨粒が付着した。

「英国の雨はいい匂いがすると、誰かに聞いたことがある」とオレは言った。

「あとで試してみよう」甘えるように、修二がオレの手を握り返してきた。

 握り返してきた彼の手を、オレは放した。それから言った。「続きを話してもらおうか」

「俺、突拍子もないことをしでかしてしまったんだろうか」

 修二は、急に不安げな表情をこちらに向け、やっと本音を漏らした。リバーボートは、ウォータールー橋をくぐったところだ。

「さあな」

 雨が降ったのは、ほんの僅かな時間のようだ。空が明るくなったような気がした。それでも、一様なグレーを保っていた。河岸に続く建物。おそらく、一週間も経てば、この光景のディテールは記憶から消し去られてしまうのだろう。けれども、きらめく全体像の雰囲気は忘れられず、いつまでも、しっとりとした印象を伴い、心の中にとどまっているのだろう。

「続きを話してくれ、ゆっくりでいいから」オレは穏やかに促した。

「ぜんぶ、お前の言った通りだ」修二は、何かから解放されたかのような、安堵の表情を示し、語り始めた。

「あの晩、いつものように近田君とうちに帰って、それから彼に抱かれた。抱かれているだなんてこと、正直に告白できるのはお前だけだ。そしてそのあと、コーヒーを飲みながら何気にテレビをつけてみると、爆破されて炎上しているビルの前に、彼が立っている光景が突然、映し出された。二年前、シュンと知り合う前、俺が本気でほれていた男が、な。あれほど引き止めたのに、俺を残して旅立っていったあの人が」

 修二の目は遠くなっていた。何を見つめていたのだろうか。わからなくて、置き去りにされたような気がして、どこを見ればいいのかわからなくなって、オレは彼を遮り口をはさんだ。

「その彼とは、それきりなのか」

「いや、彼が帰国したときは、会っていたよ。でも二回だけかな。こちらから会いに出向いたのは初めてだ。近頃はご無沙汰だな。もう一年も会っていない」

 やはり、修二は遠くを見つめていた。

「長らくご無沙汰だった彼に急に会いたくなったのは、どういうわけだ」

「どうしてだろう…。テレビ画面の中の彼が、遠く感じられたからかな。すっかり存在を忘れているときよりも遠くに、手の届かないところにいるように」

 白い光、それ自体が発光する街のきらめきに吸い寄せられる男。その男の独り語りが続いた。

「炎上するビルを背に、彼がとても早口にまくし立てていたんだ。俺が知らない、仰々しいくらい緊迫した表情で。近田君はアクション映画か何かを見ているように、興奮していたよ。興奮して、テレビの前に乗り出していた。俺は、セックスをしたばかりの彼の肩越しに、昔、本気でほれた男の見知らぬ表情に釘付けになっていた。俺が驚いたのは、あの人がこちらを見ていたことだ。テレビ画面を通して、こちらに視線を投げていたことだ。俺のことは一度も、見向きもしなかったのに。一人にしないでくれとすがりついたときも、行く先だけを見つめていたのに。戦場のような光景と彼の真剣な眼差しが、俺をおかしくしてしまったのかな」

「それで、彼に会いにロンドンまでやってきたのか、心配になって」

「まさか、彼のことなんて、心配じゃなかった。たぶん、自信はないけれど、どうなのかな…。急に何かに駆り立てられて、心がはやって、あふれそうになって、不安だった…。適当な理由を作って近田君を部屋から追い出した。それから後のことは、よく覚えていない。とにかく、行かなければならないと思った。思ったら、もう自分が抑えられなくなってしまった」

 そこで言葉を切った修二は、今度は彼の方から急にオレの肘を掴み、こちらをまっすぐに見つめた。それから既に導き出している答えに同意を求めるかのように、オレに問うた。

「俺、やっぱり突拍子もないことをしでかしてしまったんだろうか」

 オレは無言のまま彼を見つめ返しただけで、彼の欲しがっている答えを口にはしなかった。首を横に軽く振った。

 すると、小泉修二は薄い微笑を浮かべ、ゆっくりと顔をそむけた。河明かりを受けた、端正な褐色の面持ち。短く黒い髪が、輝いていた。

 骨張った彼の手から力が抜け、オレの肘から指先が離れてしまった。二人は離れてしまった。彼は呟いた。

「あれからバスが二台、爆破されたそうだ。昨日も地下鉄の駅が閉鎖されて、警察の爆弾処理班が爆弾探知機で駅中を調べたそうだ。デマの情報も飛び交っているらしい。物騒な街だな、ほんとに物騒な街だ。こんなところ、来るんじゃなかったな」

 彼はそれきり黙ってしまった。しばらく二人は、無言のまま船の揺らぎと同化していた。窓辺の彼の輪郭線はあまりに美しかった。彼は美しかった。オレは意地悪を言いたくなった、だから言った。

「ああ、来ない方がよかったよ。こちらにいる限り、テレビのニュースを見ても彼の姿は拝めないからな」

 言った後、あまり気のきいた意地悪ではなかったと後悔した。オレはみじめになった。

 テムズ河は絶え間なく流れゆく。河景色も、河明りも同様に。リバーボートは、広がってゆく穏やかな流れ、その表面にたゆたうさざ波を、なめらかに切り裂いて滑った。切り開かれた波紋の裾が、揺れていたかもしれない。水面下には、穏やかだが巨大な水の動きがあるのかもしれない。

 やがて、船窓からロンドン塔が見えた。もう終点だ。あと少しで、テムズ河クルーズもおしまい。小泉修二とオレは、無言のままでいた。二人とも、それぞれ反対方向の河岸の景色を、見るともなしに眺めていた。

 沈黙を破ったのは、オレだった、リバーボートのエンジン音と河の水音に、声を溶け込ませたのは。穏やかな声色だったように、自分でも思う。

「そう言えば、近田君に会ったよ、先週の金曜日の晩、お前から手紙をもらったあとで」

「そうか」修二の声も穏やかで、ほとんど感情が感じられなかった。「元気にしていたか?」

「ああ。体の方は、相変わらず素晴らしかったよ。お前と連絡がつかなくて悄気ていたけれど」

「あいつの体を思うと、ほんとにだらしない気持ちになるよ」

「よせよ。年増女じゃあるまいに」

 オレがそう言うと、修二は力なく笑った。オレも同じように笑った。二人で少しだけ笑ったあと、ほとんど同時に浅いため息。浅いため息は、軽い孤独感を残し、消えてしまった。

 リバーボートが減速した。桟橋まで、あと十数メートルだ。船底が振動し、景色の流れも止まった。空模様は、雨が降ってもおかしくない感じに戻っていた。けれど、もうしばらくは降らないだろうと予感した。二人には話す言葉もなく、ただなんとなしに笑った余韻に浸っていた。このまま浸り続けるのも悪くはないし、ぎこちない気がしないでもなかった。修二は何を思っているのか。何も思っていないのかもしれない。オレはといえば、旅行に出かけたとき独特の、漠然とした感傷、デジャヴのような気だるさの中に、ただただ埋没していた。その、ぼんやりとした感情にも、鮮明な核があったのかもしれない。

 異国の水上で揺れているオレ、一度だけ寝て、そのあとはトモダチでいる男の隣に座っている。

 そしてその男は、いくつもの子午線を越え、本命の男、放ったらかしにしておきながら忘れることの出来なかった男を追いかけて来たのだ。

 そしてオレは、その突拍子もない男を追って極東を飛び立ち、ユーラシア大陸から放り投げられたこの島国までやって来たのだ。けれど、オレが追いかけて来たのは本当にこの男なのか? 何を求めて? わからなかった。

 船が桟橋に到着した。アナウンスが終点だと告げた。乗客たちは席から立ち上がり、乗降口へと押し寄せた。オレたち二人はすぐには立ち上がろうとはせず、他の乗船客が立去るのを待った。船室が空になると、二人はゆっくりと席を後にした。それからリバーボートを降りた。

 船を降りるとき、小泉修二がバランスを崩してよろめいた。彼の肘に腕を掛け、オレはよろけた彼の体を支えてやった。修二もオレに一瞬、体をゆだね、バランスを持ち直した。その時、オレは尋ねた。

「それで、本命の彼との一年ぶりの再会の感想は?」

 しばらく黙る彼。それから、呟いた。

「それが、まだ会ってないんだ」

 今度はオレが黙り、彼の顔をしげしげと眺めた。

「何だって?」

「だから、まだ会ってないんだよ」

「こちらへ来てから、もう二週間が経とうというのに?」

「ああ」

「ずいぶんと悠長だな」オレは彼の腕を放し、背を向けて船着き場に降り立った。背中を向けたまま言った。「あわてて出かけたわりには」

続きは電子書籍で⭐️

Kindle ↓

カルネバーレ: 男たちの謝肉祭

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福田邦夫さん「色の名前事典507」のご紹介

みなさん、こんにちは☺️リュッツォでございます☺️

わたくし、書き物に活かしたいのと色が好きなのと両方で色事典を何冊か持っているのですが、今回、福田邦夫さんの「色の名前事典 507」をご紹介させていただきます。

Amazonへのリンク→色の名前事典507

こんな本です。書き物に役立つと思って2860円で購入しましたが、思っていた以上に色が豊富でお勧めできるので今回のご紹介。

赤系も充実。
茶系も!
パープル系。
グリーン系!
わたしの大好きな青! かなりのボリュームがあります!
そして何より嬉しいのが白系まで紹介されていること!

いかがでしたか? 白系まで網羅された色事典はなかなかないんですよね。これとてもいい色事典です。

各色毎にその色の由来やエピソードが書かれていてとても充実しています。

なかなかの厚さがありますし、書き物に使うと情景描写のバリエーションが増えたりロマンティックになったりしますよね。

よかったら取り寄せてみてくださいね☺️

Amazonのリンク→色の名前事典507

薔薇族テレカ

薔薇族デビュー25周年ですのでもうずいぶん昔の話なのですが、1994年から2000年にかけてわたしが書いた小説が4作品、掲載となりました。

そのうちの一つ「雨の牙」は全編・後編に渡る二連載でしたので、合計で5回に渡って掲載していただきました。

その縁でいただいたテレカには間違いないのですが、わたしの手元に3枚の薔薇族テレカがあります。

もう昔のことなので記憶があやふやで、掲載された号と共に送られてきたのか、それとも別の機会に送られてきたのか覚えていません。

掲載号と共に送られてきたなら5枚あってもおかしくないのですが、とにかく手元には3枚しかありません。

「雨の牙」は2000年という薔薇族最終盤に連載された作品なので、もしかしたら方針の変更などでこの作品だけ贈られなかったという可能性もあります。

ちなみにわたしは覚えているだけで合計5作品を薔薇族に投稿していて、ボツになったのは1つ限りではなかったかなと記憶しております。

早速、画像と共に薔薇族テレカのご紹介🙂

まずは男性の六尺姿のテレカ。月刊薔薇族としか書かれていないので、年単位で製作していたのか月単位で製作していたのかは不明。

個人的なことを言うと、この男性わたしのタイプです☺️

鼻の下が伸びそう(笑) 体もいいですね。挑発的な眼差しもいい感じです(笑)

お次は当時、長谷川サダオ「画伯」とすら呼ばれていた故・長谷川サダオさんのイラストの薔薇族テレカ。長谷川さんは海外で個展をされるなど当時はもうすごい存在でした。

わたしの処女作「真夜中の雨」に長谷川画伯のイラストがつけられていてビビったのを今でも覚えています。長谷川画伯にイラストをつけて頂くというのはメインディッシュ扱いですので。

続く「卒業旅行」、「ほほにかかる涙」も長谷川さんにイラストをつけていただきました。ご存命中はすべて長谷川さんのイラストという扱いに今では目がうるうる😂

最後は三上風太さんのイラストの薔薇族テレカ。三上さんには「雨の牙」のイラストを全編・後編共につけていただきました。

長谷川さんが急逝されたのもあり、後に薔薇族を一身に担ったイラストレーターさんです。薔薇族なき後はサムソンでご活躍されていたようです。

残念ながらサムソンは休刊に入りましたが、今後のご活躍をお祈りしております。

閑話休題。

わたしが薔薇族に投稿していたのは薔薇族の終盤の90年代でしたが、当時でも薔薇族は勢いがある雑誌で、まだBadiに追撃を許すこともなく、おそらく小説もたくさん投稿が寄せられていたと思います。というのもバディの編集担当さんが「すっごい送られてきます」とおっしゃっていたので。

ですので薔薇族は小説が掲載されると、掲載された号だけ送られてくるという形式でした。なぜテレカをもらっていたのかはよく覚えていません。

編集担当の方とも電話でしか話したことがありません。

一方バディは編集さんとも西◯さんともお会いしたことがあります。今となっては時効でしょうから話しますけれど、わたしはバディに初投稿して以来、5年間バディの雑誌が無料で送られてくるという扱いを受けていました^_^;

単に事務的な間違いで掲載されていない号も送られてきていたのか、VIP待遇だったのか、怖くて確認しませんでした。

ただ西◯さんに「他の作家さんの小説も読んであげて、勉強してね」と一言言われていたので期待もされていたのかもしれません。もしくは他の作家さんも同じ扱いでわたしだけ特別、というわけではなかったか・・・。

不明です。

結果、バディとは1年で袂を分かつ決意をしたので、その後の4年間はただ雑誌が送られてきていたという・・・💦

時効ですよね?

もう15年以上前ですから。

そんなちょっとした自慢話を今日は語ってみました。

薔薇族やBadiについては当時を知るものとして色々と話したいことがあるので、また別の機会にお話しできたらな、と思います🙂

GW、ゲイ小説2作、文芸作品1作無料開放のお知らせ

みなさん、こんにちは。リュッツォです☺️

新型コロナ感染拡大防止のためにゴールデンウイーク中の外出を自粛する方々のために、わたしのゲイ小説2作品と文芸作品1作をゴールデンウイーク期間に限り無料開放いたします。

トップページにリンクを貼っておりますのでそちらからお願いします。

「イラストレーター」は性描写もほとんどなく、さらっと読んでいただける作品です。

「黒装束」はちょっときつめの性描写がありますが、あまりエロい感じではなく、アプローチとしてはデュラス 的なものを目指した作品です。

「波光イマージュ」はややとっつきにくい文芸作品ですが、わたしの故郷のちょうどゴールデンウイーク頃の海のギラつきを描いた作品ですので、比較的新作ですが、今回無料公開に踏み切ります。

気に入っていただいたらより美しく縦書きで読める電子書籍のダウンロードもお願いしますね😊

新詩集「闘魚の戯れ」発売のお知らせ

お待たせしました。新詩集「闘魚の戯れ」の発売です。この詩集は十編の詩と、その詩の意味やニュアンスを補完するテキスト文書で構成された1万字の本になります。詩にテキストをつける、ということをやっている方がいらっしゃるのかは存じ上げませんが、わたしにとっては新挑戦。

実は小説の中に詩を挟む、という作品はひとつ未発表のものがあるのですが、テキストで補足する、というのは初めてで、ストーリーにはなっていません。

自分でも落とし所を掴みながら試行錯誤で書きました。自分で振り返ってみて、わたしの詩はクラシックで文章的ですね。もとが小説書きなのでどうしても文章で表現したくなるというのもあるのですが。

興味のある方はぜひサンプルを見ていただき、よかったらダウンロードしてくださいませ☺️

Apple BooksとKindleにて扱っております。

「闘魚の戯れ」。詩集。淡水、男同士の闘い、癒しなどをテーマに書いた十編の詩とその各々の詩を補完するテキスト文書から構成される文芸作品。本を通してのストーリーはありませんが、特に水をテーマにしています。また仏教の般若心経に触れている点もあります。ボーナストラック一編。現代詩というよりも意味をなす近代詩、もしくはクラシックな自由詩に近いと思います。詩とテキストの融和に挑戦した詩作品です。同性愛的な要素もあります。1万字。詩のタイトルは、「A forbidden colour」、「水と器」、「トカゲピアス」、「喜びに満ちた祈りの時間」、「不垢不浄」、「闘魚の戯れ」、「ビロードのウロコ」、「エモーショナル・イエローの雨」、「錬金術により生じた薬の復讐」、「プラチナムの聖者」、そしてボーナストラック「シルバームーン」。250円。

Apple Books ↓

http://books.apple.com/us/book/id1509623302

Kindle ↓

闘魚の戯れ

00年Badi小説大賞特別賞受賞作「みずぎわ」

 ル・アーブルを出る貨物船は、喜望峰を回って極東までやってくる。貨物船へのコンテナの積み込み作業は、綿密な計算を要するそうだ。バランスが悪いと、航海が危なっかしい。

 物語は、水ぎわで始まった。

 金曜日の夜、馴染みの酒場で北村を待っていた。酒場はたいへん賑わっていたが、ゆったりとくつろいだ感じで、お客はすっかり週末の顔をしていた。店主がこちらにやってきて、挨拶をした。挨拶の後、軽い会話を交わした。

「この街に来て、何年になる?」店主が尋ねた。

「もう十年かな」

「長いね」

「うん、長い」

 それから店主は、一人の青年を指し、あそこに立っている男は貨物船の乗組員なのだと耳打ちした。素晴らしい美丈夫でしょう。美丈夫という言葉があの男に付きまとっているみたい。あれだけの色男だから、彼氏は嫉妬と詮索でもうたいへんなの。店主は、毎夜繰り広げられる色恋沙汰を目の当たりにしてきた目で青年を眺め、それから、僕の方に視線を戻した。見てるといい。店主はそう言い残して立ち去った。

船員の側で彼をじっと見守っていた男が、通り掛かった給仕の腕を馴れ馴れしく掴んで呼び止めた。

「お酒をもっと持ってきて。今夜は飲むんだから」

 男が言うのがここまで聞こえた。おそらく彼は船員の彼氏なのだろう。既に酔っているようだ。誰彼構わず示す媚態を今度は本命の男に向け、船員の肩に頭を乗せた。

 船員は、腕組みをし、鬱陶しそうに顔を背けた。彼は無言だった。この男はたぶん、航海の間中ずっと、同じ顔をして黙っているのだ。己に酔い知れる資格があることを自認していながら、けれど、己の魅力が一体どこにあるのかについては無意識でいるのだ。美しさが人の目には傲慢にうつる一例だ。

 男はきっと、己の魅力を持て余しているのだろう。飽きることなく男を食い続けるのがその証拠だ。彼氏のほうは、途方もない航海に一区切りが打たれるまで船員を待ち続け、船員が決して彼の手を離れないと確信している。そして、その確信にはきっと根拠があるにちがいない。

 ずいぶんと遅れて、北村がやってきた。十時十二分だ。北村は、急な仕事が入ってなかなか出られなかったのだと言い訳した。趣味のいいスーツとネクタイを合わせていた。北村と二人きりで会うのは初めてだ。開け放たれた扉から、往来の音が入ってきた。

「悪かったな、急に呼び出したりして」北村は謝った。

「秀が出張だなんて、めずらしいね」

「ああ」

「初めてだね」

「何が?」

「二人だけになるの」

「そうだっけ」

 北村はヴォッカを注文した。酒が運ばれてくるまで、二人は黙っていた。北村はネクタイを緩め、酒を半分ほど一気に飲み干した。深いと息をついた。

「また寒くなったね」僕は言った。

「ああ。冬物をしまったばかりだよ」

「すぐに暖かくなるさ」

「どうかな」

「ねえ」僕は大柄な北村を少し見上げた。

「あそこにいるいい男、貨物船の船員なんだって」

「へえ」

 北村は興味を示さず、酒場の方々を見渡した。客が増え、酒場は飽和状態になっていた。個々の宴が佳境に差し掛っている。この人と二人きりになるのは初めてだと、再び認識した。北村は酒をすぐに飲み干し、もう一杯同じものを追加注文した。酒場の喧騒の中でその様子を見守っていると、脈略もなく、過去の記憶の断片が蘇ってはすぐに逃げていった。何一つ、心を奪われる思い出はなかった。

「秀とは何年?」

「そろそろ二年だな」北村は僕を見てはいなかった。

「長いね」

「そうかな」

 それから、秀の話しはもうしなくなった。懐かしい曲が流れていた。ふと船員に目をやると、さっきと同じ顔で腕組みをしていた。彼氏の方は既に酔いつぶれていた。あのコと寝たでしょう。彼氏の言葉が微かに届いた。何とか聞き取れるくらいの声だった。船員は否定した。たぶんあの男は、追及されるのが好きなんだ。

 北村は、三杯目のヴォッカに口を付けた。顔には兆候が見られなかったが、おそらくもう酔っているはずだ。

「仕事の方はどう?」僕は北村に微笑み掛けた。二人だけだと、言葉が見つからなくて、沈黙の方が長くなってしまう。

「うん、まあな」

「人は働かなきゃね」煙草に火を付けた。北村が煙草を吸わないことは知っていた。「働かなきゃ、持て余してしまう」

「おもしろい事を言うんだな」

「そう?」

 それで会話は途切れてしまった。酒場の喧騒が二人を包んだ。そのまま喧騒の中に埋もれ、何も言わずに黙ったまま、お喋りを楽しんでいる周囲の人々の顔を見回した。店主は忙しく働き、時折、船員と彼氏の物語を盗み見ている。きっと、とりこになってしまったのだ。北村は酒を口に運び、喉を鳴らして飲んだ。その、やわらかい男性的なモーション、透明なグラスを掴んだ、めくるめく形を変える手の全体像、断片が結び付いて北村康史と呼ばれる一人の男の像を結ぶ瞬間を、僕は見据えていた。それから、二本目の煙草に火を付けようと取り出すと、その手を北村が掴んで制止した。僕は動きを止め、彼の顔を不躾に見つめた。彼も僕を見つめ、手を放そうとはしなかった。僕は彼の手を慎ましく押し返し、煙草に火を付けた。彼は目を逸した。唐突に、勇作はこの街が好きか、と彼は僕に尋ねた。港町は好き。だけど都会はあんまり。そう僕が答えると、彼は急に真剣なまなざしをして言った。俺のうちに来ないか。それから言い換えて命令した。俺のうちに来てくれ。はい、とだけ、僕は答えた。

 酒場を出るときも、船員は同じ場所で同じ顔をしていた。このまましばらく同じ顔でい続け、街が眠る頃、まっ黒な影になってしまうのだろう。別の黒い影を抱き、すっかり模様を失ってしまうのだろう。

 放射冷却が海と陸の気温を逆転させた。夜の陸風が、部屋の窓を叩いていた。よく見知った、北村と秀の住居だ。明かりを消したままの部屋に、死んだような陰影が刻み込まれていた。北村は、コートを着たまま僕を抱き締め、いきなりキスをした。ひとり言のような口付けだった。目を開けて、彼の顔を見つめた。独り言を呟くような顔だった。この人は、何かが怖いんだ。僕は彼の背中に腕を回し、手のひらで撫でた。

 やらせろ、と彼は言った。秀の体ではもういかなくなった。だからやらせてくれと言った。彼は性急になり、僕の体をベッドに押し倒してがむしゃらに求めた。僕は抵抗する振りをした。秀にばれたら、僕達三人とも、ばらばらになってしまうよ。お前まで俺を追い詰めるつもりなのかと、彼は僕を責めた。それから僕に頼んだ。お前は頭がいいし、根はすれているから、いくらでもごまかせる筈だ。お前が俺達の側にいてくれたのは幸運だった。

 秀に対して後ろめたい気持ちはなかった。それどころか、こうやってこの人達の筋書きに嵌め込まれていく自分が、やっかいな役回りをしょいこんでしまった気すらした。それともこの人達は、僕をおもちゃにして、おもしろがっているのだろうか。

「やっぱりダメだよ」それが与えられた台詞だと思った。

「黙れ」

「けがらわしいよ、康史さん」

「お前こそ」

「抱けるの?」

 北村は僕の両肩を押さえつけ、激しい口付けを浴びせた。それから、服を脱がせて裸にし、僕の体にとびこんできた。まるで初めてのコがするみたいな、痛々しいくらいにひたむきな愛撫だった。この人は本気なんだ。僕はもうためらいをかなぐり捨て、すべてを許し、また、あらゆるかけひきを禁止事項にした。

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もう古い話しですが、ゲイ雑誌Badiの2000年Badi小説大賞特別賞受賞作品「みずぎわ」の冒頭です。こちら、編集部で絶賛で小説大賞受賞内定していたのですが、読者から「登場人物が多くてわかりにくい」、「難解で何が言いたいのかわからない」といったネガティブなリアクションが多く寄せられたため、大賞なしの特別賞に繰り下げ、ということになった曰く付きの作品です。その年は大賞なしになってしまいました。

作者としてはこの作品の持つグレイトーン、もしくはモノトーンの空気感と、三角関係の中で揺蕩う登場人物たちの心情を、情景描写を通して描いた作品として楽しんでいただけたら幸いです。

エロ要素はありませんが、小説作品として楽しんでいただけたら幸いです。

Apple BooksとKindleにて扱っています。ぜひ☺️

Apple Books ↓

http://books.apple.com/us/book/id1472992421

Kindle ↓

みずぎわ: 第9回バディ小説大賞特別賞受賞作(ゲイ雑誌)